古典落語に登場する千葉国府台「總寧寺」          

春桜、秋は紅葉の 總寧寺



古典落語に登場する總寧寺
總寧寺は、江戸の落語・三遊派の大名跡である三遊亭圓朝(1839-1900)の古典落語のなかに登場します。

原題は「粟田口霑笛竹」(あわだぐちしめすふえだけ)といい、盗まれた銘刀粟田口の行方探しと、一節切(ひとよぎり)笛の名手・稲垣小左衛門の仇討が題材となった長編の人情噺です。

「 真間の根本をなだれ上がりに上がってまいると、総寧寺の大門までは幅広の道で、左右は大松の並木にして、枝を交えて薄暗きところを3町ばかりまいりますると、突き当たりが大門でございますが、ただいまはまるで様子が違いましたが、そのころは黒塗の大格子の大門の欄間は箔置きにて、安国山と筆太に彫りたる額が掛かっておりまする。

向かって左の方に葷酒不許入山門とした戒壇石が建っておりまする。

大門をはいると、半丁ばかりは樹木は繁茂いたして、昼さえ暗く、突き当たりに中門がございまするが、白塗りにて竜宮のような妙な形の中門で、右のほうはお台所から庫裏につながっており、正面は本堂で、曹洞派の禅林で、安国山総寧寺といって名高い禅寺でございます。 」

それが林家彦六(八代目林家正蔵)の噺「粟田口」では3話の簡潔な内容になり、現在は彦六の弟子・林家正雀が伝承しています。そのさわり部分です。宜しければお聞き下さい。


「 朝早くに鴻之台の禅寺を訪ねる。
勤行の最中であるのか、静寂な空気にチーンと仏具を打つ音が微かに聞こえてくる。
扉を叩き、押してみたが返事はない。
ただカラスが驚き、門をかすめるようにしてバタバタと飛び立った。

仏塔が高くそびえ立ち、ほかには何もない。
伽藍は朽ちかけ、松がうっそうと生い茂っている。
いまはこの遺跡を訪れる者もない。
蜘蛛は何を思っているのか、仏に網をかけて寝床にしている。 ~」

[ 2021年以降:デイリー 目次 ]

inserted by FC2 system