Human Phenotypes (表現型)に見る平均顔            

「 Human Phenotypes 」とは、「 人 」の「 表現型 」のことで「 表現型 」とは、「 遺伝子型 」と対比される概念です。

「 表現型 」とは、観察可能な構造、機能、および行動を含む、生物の物理的症状です。

生物の「 遺伝子型 」は、生物の分子、高分子、細胞、代謝、エネルギー利用、器官、組織、反射および行動を決定します。

この「 遺伝子型 」に加えて、エピジェネティック(DNAの配列に依存せず、かつ細胞分裂を経て引き継がれる遺伝子機能の変化や仕組み) および環境要因の影響を受けて、その生物の「 表現型 」が観察可能な形で発現します。

それでは、どのような形で「 人 」の「 表現型 」を把握するか?

この場合に利用されるのが「 人 」の「 平均顔 」です。

「 平均顔 」とは、複数の人の顔を重ね合わせて、平均的な顔を作り上げたものです。

以下は、中国各地に住む「中国人」についての八つの「 平均顔 」です。



1.黄河流域型(Huanghoid)(Sinid)





こちらは黄河流域という名前が付いているとあって、中国の北方や東北地方に多い顔の特徴です。

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2.長江流域型(Changkiangid)





こちらのタイプは江蘇、浙江、安徽、江西、湖北、湖南、四川、貴州、雲南の各省によく見られるそうです。

非常に広い範囲になりますが、これまでのタイプよりも少し丸顔になってきた印象です。

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3.珠江流域型(Chukiangid)





広東、広西、福建、雲南南部の典型的なタイプ。

広東の男性はこのタイプの顔が非常に多く、この顔を見ると広東周辺の出身なんだろうと思います。

また、ベトナム人もかなりこのタイプが多いと思います。

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4.安南型(Annamid)





ベトナム中部と中国南部に分布。

特に広東や広西の農村に行くと、日焼けしたこのタイプのおじさんがたくさんいます。

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5.満州-朝鮮型(Manchu Korean)





東北地方と朝鮮半島に分布。

遼寧省瀋陽出身者ともよく似ています。南の方ではあまり見ないタイプです。

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6.羌人型(Qiangid)





チベット族など青蔵高原に住む少数民族典型のタイプ。ブータンの人なんかもこんなイメージです。

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7.ツングース型(Tungid)





ゴビ砂漠からシベリア凍土エリアを含む広い範囲に分布。

モンゴル人のイメージに近いです。
北方に住む漢族にもこのツングース型の血を引いていると思われる人をよく見る印象です。

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8.南方蒙古型(South Mongolid)





最後は東南アジアに広く分布するタイプ(これまでと違い複数あるものの総称)。

これまでとは違いますが、広東西部や海南出身の人には漢族といいながらこのタイプの顔も見られます。



これらの原データは、以下のサイトから見ることが出来ます。

[ Human Phenotypes ]

その中でも、以下のサイトで、世界地図の該当部分をクリックすると、そこに居住する人々が分かり、明細を見ることが出来ます。

[ 地図クリックで見るHuman Phenotypes ]

因みに、日本列島をクリックすると、

1.黄河流域型(Huanghoid)(Sinid)

7.ツングース型(Tungid)

8.南方蒙古型(South Mongolid)に加えて、

9.アイヌ型(Ainuid)が呈示されます。

0.日本型(Japanoid)は存在しません。






但し、五カ所の平均顔を呈示しています(関東:石川:長州:筑前:薩摩)。(翻訳が便利です。)

[ Yakonin:役人:関東 ]

[ Ishikawa:石川 ]

[ Choshiu:長州 ]

[ Chikuzen:筑前 ]

[ Satsuma:薩摩 ]


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ここで、感じたこと二点に触れていきたいと思います。



1.「平均顔」は「平凡でつまらない」ことはなく、美しい、ことです。

1990年に Judith Langlois と Lori Roggman は、驚くべき発見を発表しました。

それは、「美しい顔は平均した顔である」というものです。

[ 美とは何か:学者論文 ]

複数の画像を重ね合わせることで、個性的とも言える「角」が取れ、見ていて心地よい顔となります。

また、顔の左右の違いも緩和され、バランスが取れた顔となります。

2.私達は、多くの顔を見るうちに、自分の頭の中で「平均顔」を作っているのではないか?

「顔認証」の所で見た通り、自分で作った「平均顔」からのブレ、ズレを、個別の顔の個性として捉えているのではないか?、ということです。

「美しい顔」を数多く見てきた人は、頭の中の美しい「平均顔」がますます美しくなりますが、「美しい顔」判断のハードルが高くなります。

幼い時から「美食」してきた成年は、「舌」が肥えますが、逆に「不味さ」に敏感になります。

「ディープラーニング」のプロセスには、私達の「平均顔」を作るプロセスとの類似点を感じます。

無意識下で行っている脳の働き、謎です。


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